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【開発実績】車両コスト削減と業務効率化を実現する自動車管理システム開発事例

  • 開発部
  • 11月8日
  • 読了時間: 9分

更新日:4 日前


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プロジェクト概要


物流業界では、燃料費の高騰や人手不足を背景に、保有車両の効率的な運用が経営課題となっています。今回ご依頼いただいたのは、全国に営業拠点を持つ中堅物流会社様からの「社用車・配送車両の一元管理システム」の開発です。


従来、同社では車両ごとの管理台帳がExcelで個別に作成されており、車検時期の見落としや保険更新の遅延が年間数件発生していました。また、燃費データの集計に毎月延べ40時間以上の工数がかかり、配車計画も担当者の経験と勘に頼る属人的な運用が続いていました。


本システムの導入により、車両関連業務の工数を年間約60%削減燃料コストを約12%削減することに成功。さらに、車検・保険の更新漏れはゼロになり、コンプライアンス面でも大きな改善を実現しました。


お客様が抱えていた課題


1. 車両情報の分散管理による非効率

各営業所がそれぞれExcelで車両台帳を管理しており、本社での全体把握が困難な状況でした。


  • 全国15拠点で約200台の車両情報がバラバラに管理され、統一フォーマットも存在しない

  • 車検証や保険証券のコピーが紙ファイルで保管され、必要な情報の検索に時間がかかる

  • 車両の稼働状況や走行距離の集計に毎月3営業日以上を要していた

2. 車検・保険・点検の期限管理の属人化

重要な期限管理が担当者個人の記憶やカレンダー頼みになっていました。


  • 年間2〜3件の車検切れ・保険更新漏れが発生し、その都度業務が停止

  • 担当者の異動や退職時に引き継ぎが不十分で、期限情報が失われるリスク

  • 法定点検の実施記録が残っておらず、監査時に証跡を揃えるのに苦労していた


3. 燃費・コスト分析の手作業による負担

燃料費や維持費の分析に膨大な時間がかかり、経営判断に活かせていませんでした。


  • 給油データを手入力で集計しており、入力ミスや集計ミスが頻発

  • 車両ごとの燃費傾向を把握できず、燃費の悪い車両の特定が遅れていた

  • 修繕費・保険料・税金などの維持コストを車両単位で正確に把握できていなかった

解決策:クラウド型の統合自動車管理システム


システムの基本的な仕組み


本システムは、車両に関するあらゆる情報を一元管理し、必要な人が必要なときにアクセスできるクラウドベースのプラットフォームです。

車両の基本情報、期限管理、コスト管理、配車管理の4つの機能を統合し、リアルタイムで全社の車両状況を可視化します。


分かりやすく例えると:

  • 車両マスタ = 会社の「車両版・社員名簿」

  • アラート機能 = 秘書のように期限を知らせてくれる「自動リマインダー」

  • ダッシュボード = 経営者のための「車両コスト見える化ボード」


これらが連携することで、「管理漏れゼロ」「コスト最適化」「業務効率化」を同時に実現する仕組みです。


主な機能と効果


1. 車両情報一元管理機能


何ができるか:全車両の基本情報から書類データまで、すべてをクラウド上で一元管理できます。

  • 車検証・保険証券・リース契約書などをPDFで登録し、いつでも参照可能

  • 車両の写真、走行距離、配属先、担当ドライバーなどを紐づけて管理

  • 検索・絞り込み機能で必要な車両情報を瞬時に抽出


お客様のメリット:

  • 情報検索時間が従来の1/10以下に短縮

  • 拠点をまたいだ車両情報の共有がリアルタイムで可能に

  • ペーパーレス化により書類保管スペースを削減


2. 期限アラート・スケジュール管理機能


何ができるか:車検・保険・点検などの重要期限を自動で管理し、事前に通知します。

  • 車検満了日の60日前・30日前・14日前に自動でメール通知

  • 法定点検、タイヤ交換、オイル交換などの定期メンテナンスもスケジュール登録可能

  • カレンダー形式で全車両の予定を一覧表示


お客様のメリット:

  • 車検切れ・保険更新漏れが完全にゼロに

  • 担当者の記憶に頼らない仕組み化された期限管理

  • 計画的なメンテナンスによる車両寿命の延長


3. 燃費・コスト分析ダッシュボード


何ができるか:給油データや維持費を自動集計し、多角的な分析レポートを生成します。

  • 給油カード連携により、給油データを自動取り込み(手入力も可)

  • 車両別・拠点別・月別の燃費推移をグラフで可視化

  • 修繕費・保険料・税金・リース料などを含めた総保有コスト(TCO)を算出


お客様のメリット:

  • 燃費の悪い車両を早期発見し、運転指導や車両入替の判断材料に

  • コストデータに基づいた車両投資計画の立案が可能に

  • 経営会議向けレポートの作成工数を大幅削減


技術的な特徴(専門用語を分かりやすく解説)


クラウドネイティブアーキテクチャ


クラウドネイティブとは:システムを自社のサーバーではなく、インターネット上のクラウドサービス(AWS)を活用して構築・運用する設計手法です。自社でサーバーを購入・管理する必要がなく、利用量に応じた柔軟な拡張が可能です。


採用理由:

  • 全国15拠点からのアクセスを安定して処理できる高い可用性

  • 初期のサーバー購入費用が不要で、月額利用料のみで運用可能

  • 車両台数の増加に合わせてシステム性能を柔軟に拡張できる

  • 災害時にもデータが保全され、事業継続性を確保


レスポンシブWebアプリケーション


レスポンシブWebアプリケーションとは:パソコンでもスマートフォンでも、画面サイズに合わせて最適な表示に自動調整されるWebシステムです。専用アプリのインストールが不要で、ブラウザからアクセスするだけで利用できます。


本システムでの活用:

  • 営業所のPCからも、外出先のスマートフォンからも同じように操作可能

  • ドライバーが給油後にスマートフォンから即座にデータ登録

  • アプリのインストールやアップデート作業が不要で、IT部門の負担を軽減

  • 将来のOS変更やデバイス変更にも柔軟に対応


開発プロセスと期間

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フェーズ1:要件定義・設計(2ヶ月)

現場の実態を深く理解するため、本社だけでなく複数の営業所にもヒアリングを実施しました。現行のExcel管理の問題点を洗い出し、「現場が本当に使いやすいシステム」を目指して要件を固めていきました。


主な活動:

  • 本社管理部門・営業所担当者・ドライバーへのヒアリング(計15名)

  • 現行Excel管理台帳の分析と課題の可視化

  • 業務フロー図の作成と改善後フローの設計

  • 画面モックアップを用いたユーザーレビュー(3回実施)


フェーズ2:開発・実装(6ヶ月)

アジャイル開発手法を採用し、2週間ごとに動くシステムをお見せしながら、フィードバックを反映して開発を進めました。


開発体制:

  • プロジェクトマネージャー:1名

  • システムエンジニア:2名

  • フロントエンドエンジニア:1名

  • UI/UXデザイナー:1名


主な活動:

  • 車両マスタ・期限管理・コスト管理の各機能を段階的に開発

  • 給油カードシステムとのAPI連携開発

  • 2週間スプリントでの継続的なデモとフィードバック収集

  • セキュリティ対策(SSL暗号化、アクセス権限管理)の実装


フェーズ3:テスト・移行・導入支援(2ヶ月)

本番稼働前に十分なテストを行い、既存データの移行と利用者への研修を丁寧に実施しました。


主な活動:

  • 総合テスト・負荷テストによる品質確認

  • 既存Excelデータ約200台分のクレンジングと移行

  • 管理者向け操作研修(本社・各営業所でオンライン実施)

  • ドライバー向け簡易マニュアルの作成と配布

  • 2週間の並行稼働期間を設け、問題がないことを確認して本番移行


投資対効果


開発費用

総額:1,500万円


内訳:

  • システム設計・開発:1,100万円

  • インフラ構築・セキュリティ対策:200万円

  • 導入支援・研修:150万円

  • プロジェクト管理:50万円

※別途、月額運用費として約15万円(クラウド利用料・保守サポート含む)


導入効果(年間)


直接的効果

業務工数削減:約480万円

  • 車両管理業務の工数が月間40時間→15時間に削減(年間300時間削減)

  • 月次レポート作成が3日→半日に短縮

  • 人件費換算で年間約480万円相当の効率化


燃料コスト削減:約360万円

  • 燃費データの可視化により、エコドライブ意識が向上

  • 燃費の悪い車両の早期入替判断が可能に

  • 年間燃料費3,000万円の約12%(360万円)を削減


間接的効果

リスク低減

  • 車検切れ・保険更新漏れによる業務停止リスクの解消

  • コンプライアンス違反による罰則・信用低下の防止

  • 監査対応の工数削減と証跡管理の確実化


経営判断の高度化

  • データに基づいた車両投資計画の立案が可能に

  • 拠点別・車種別のコスト比較による最適配置の検討

  • 中長期的な車両戦略(EV導入等)の検討材料を提供


投資回収期間:約1年6ヶ月


お客様の声

「正直に言うと、導入前は『またシステムを入れても現場が使わないのでは』という不安がありました。過去にも業務システムを導入して失敗した経験があったからです。 しかし、御社の開発チームは最初から現場の声をとても丁寧に聞いてくださいました。営業所の担当者やドライバーにまでヒアリングしていただき、『こういう機能があったら便利なのに』という声を本当に形にしてくれました。 特に印象的だったのは、スマートフォンからの給油登録機能です。ドライバーから『これなら毎回入力しても苦にならない』と好評で、データの入力率がほぼ100%になりました。以前は月末にまとめて入力していたので、漏れやミスが多かったのですが、今はリアルタイムで正確なデータが集まります。 導入から半年経ちましたが、車検切れの心配から解放されたこと、燃費レポートがワンクリックで出せるようになったことなど、日々の業務が本当に楽になりました。経営会議でも『車両コストがこんなに見える化されたのは初めてだ』と好評です。」

(管理本部 部長)


今後の展開


短期的な改善(6ヶ月以内)

  • 運転日報のデジタル化機能の追加

  • アルコールチェック記録との連携

  • スマートフォンアプリ版の開発(オフライン入力対応)


中長期的な展開(1-2年)

  • GPS車両位置情報との連携による動態管理

  • AI分析による最適配車提案機能

  • EV車両の充電管理・電費分析への対応

  • グループ会社への横展開と統合ダッシュボード


まとめ

本プロジェクトでは、Excel管理の限界に直面していたお客様に対し、クラウド型の統合自動車管理システムをご提供しました。車両情報の一元管理、期限アラートによる管理漏れ防止、コストデータの可視化という3つの柱により、業務効率化とコスト削減を同時に実現しています。

車両管理は地味ながらも、物流業・営業車両を持つ企業にとって避けて通れない重要業務です。「うちもExcel管理に限界を感じている」「車両コストを見える化したい」とお考えの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。御社の状況に合わせた最適なソリューションをご提案いたします。

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