top of page
unkai logoのみ.png

【開発実績】人材ビジネスの成長を支える業務基幹システム開発事例

  • 開発部
  • 2 日前
  • 読了時間: 13分
ree

プロジェクト概要

人材サービス業界は、少子高齢化による労働力不足を背景に、派遣・紹介・アウトソーシングなど多様なサービス形態で企業の人材課題を解決する重要な役割を担っています。


一方で、労働者派遣法の改正や働き方改革関連法への対応、求職者と企業双方の期待に応える質の高いマッチングなど、業務の複雑性は年々増しています。


今回ご依頼いただいたのは、従業員80名、年間売上約25億円の中堅人材サービス企業様です。


派遣事業と人材紹介事業を主軸に、首都圏を中心に事業展開されています。

創業から15年が経過し、登録スタッフ数は約8,000名、取引先企業は500社を超える規模に成長されていました。


従来は、求職者管理、派遣先企業との契約管理、勤怠・給与計算、営業活動などを、複数のExcelファイルと紙の書類、そして部分的に導入された複数のパッケージソフトで運用されていました。


しかし、データの二重入力や転記ミス、情報共有の遅れ、法改正への対応負荷など、業務効率と品質の両面で深刻な課題を抱えていらっしゃいました。


本プロジェクトでは、スタッフ管理から契約・勤怠・給与・請求までを一気通貫で管理できる業務基幹システムを構築。


導入後1年で、管理業務の工数を約65%削減請求漏れ・計算ミスをほぼゼロに、営業担当者の商談時間を月平均12時間増加させることに成功しました。



お客様が抱えていた課題


1. データの分散と二重入力による業務非効率

人材サービス業では、求職者情報、企業情報、契約条件、勤怠実績、給与・請求データなど、扱う情報量が膨大です。

同社では、これらの情報が複数のシステムやExcelファイルに分散しており、同じ情報を何度も入力する状況が常態化していました。


  • 求職者の基本情報を登録する際、スタッフ管理システムと給与システムの両方に手入力が必要で、1名あたり約20分のロスが発生

  • 派遣契約の更新時に、契約書・勤怠管理・請求システムそれぞれで同じ条件を入力し直す必要があり、転記ミスが月平均5件発生

  • 営業担当者が外出先で最新のスタッフ情報を確認できず、派遣先企業への提案に遅れが生じることが頻繁にあった


2. 法令遵守・コンプライアンス対応の負荷

人材サービス業界は、労働者派遣法や職業安定法など多くの法規制の下で事業を運営しています。

法改正も頻繁に行われるため、常に最新の法令に準拠した業務運営が求められます。


  • 派遣スタッフの抵触日管理(派遣期間の上限管理)を手作業で行っており、確認漏れのリスクが常にあった

  • 同一労働同一賃金への対応で、派遣先ごとの待遇情報の収集・管理・比較に膨大な時間を要していた

  • 労働局への報告書類の作成に毎年延べ100時間以上を費やし、管理部門の大きな負担となっていた


3. 経営判断に必要な情報のリアルタイム把握ができない

事業規模の拡大に伴い、経営層が意思決定に必要な情報をタイムリーに把握することが困難になっていました。

各部門からの報告を待つ必要があり、市場の変化への対応が遅れがちでした。


  • 月次の売上・利益の確定に経理部門が5営業日以上を要し、翌月中旬まで正確な数字が分からなかった

  • 派遣スタッフの稼働率や離職率など重要KPIの集計に手間がかかり、データに基づく施策立案ができていなかった

  • 営業案件の進捗状況が個人管理となっており、全社的なパイプライン把握や売上予測が困難だった


解決策:人材ビジネスの全工程を一元管理する業務基幹システム


システムの基本的な仕組み

本システムは、人材サービス業に必要な業務機能を一つのプラットフォームに統合し、データの流れを自動化することで業務効率と品質を飛躍的に向上させます。

求職者の登録から、マッチング、契約締結、日々の勤怠管理、給与計算、請求書発行まで、すべての業務プロセスがシームレスにつながります。


分かりやすく例えると:

  • 統合データベース = 会社全体の「共有キャビネット」。どの部署からでも必要な情報にすぐアクセスでき、誰かが更新すれば全員が最新情報を見られます

  • 業務フロー自動化 = 熟練スタッフの「業務ノウハウ」をシステムに組み込んだもの。契約が締結されたら自動で勤怠管理を開始し、月末には給与計算と請求書作成まで連動します

  • コンプライアンスエンジン = 法令に精通した「専門家の目」。抵触日や36協定などを常に監視し、問題があれば事前にアラートで知らせます


一度データを入力すれば、その情報が必要なすべての業務に自動的に反映されるため、二重入力の手間がなくなり、転記ミスも発生しません。


主な機能と効果


1. スタッフ・企業統合管理機能


何ができるか:求職者(登録スタッフ)と取引先企業の情報を一元管理し、最適なマッチングを支援します。スキル・経験・希望条件と、企業の求人要件を多角的に照合できます。


  • 求職者のスキル、資格、職歴、希望条件を構造化されたデータとして登録・検索できる

  • 取引先企業ごとに、部署別の求人履歴、採用傾向、評価フィードバックを蓄積

  • AIによるマッチングスコア表示で、営業担当者の提案精度が向上


お客様のメリット:

  • スタッフ登録から稼働開始までのリードタイムが平均5日から2日に短縮

  • マッチング精度向上により、派遣開始1ヶ月以内の離職率が8%から3%に改善

  • 過去の取引履歴を活かした提案で、既存顧客からのリピート率が15%向上


2. 契約・勤怠・給与一気通貫管理機能


何ができるか:派遣契約の締結から、日々の勤怠管理、給与計算、派遣先企業への請求書発行までを一つの流れで処理します。データの自動連携により、月末月初の繁忙を大幅に軽減します。


  • 契約書の電子作成・承認・保管をシステム内で完結。契約条件は勤怠・給与計算に自動反映

  • スタッフはスマートフォンから勤怠を打刻。派遣先担当者のオンライン承認で紙の勤怠表が不要に

  • 給与計算と請求書作成を自動化。複雑な時給計算や交通費精算もルール設定で対応


お客様のメリット:

  • 月末の勤怠締め作業が3日から半日に短縮。給与計算ミスによる再計算がゼロに

  • 請求書発行までのリードタイムが7日から2日に短縮され、キャッシュフローが改善

  • ペーパーレス化により、書類の保管スペースと印刷コストを年間約80万円削減


3. コンプライアンス自動チェック機能


何ができるか:労働者派遣法をはじめとする関連法令への準拠状況を自動的にモニタリングし、違反リスクを未然に防止します。

法改正時にはシステム側でルールを更新するため、個別の対応負荷を軽減します。


  • 派遣スタッフごとの抵触日を自動計算し、期限30日前・14日前・7日前にアラートを発信

  • 36協定に基づく時間外労働の上限管理。超過が予測される場合に事前警告

  • 同一労働同一賃金対応のための待遇比較シートを自動生成


お客様のメリット:

  • 抵触日の管理漏れによる法令違反リスクをゼロに。コンプライアンス体制が大幅に強化

  • 労働局への定期報告書類の作成時間が年間100時間から20時間に削減

  • 法改正への対応をシステム更新で完了でき、業務フローの見直しが最小限に


技術的な特徴(専門用語を分かりやすく解説)


クラウドネイティブアーキテクチャ

クラウドネイティブとは:システムを自社のサーバーではなく、インターネット上のクラウドサービス(AWS:Amazon Web Services)上で稼働させる設計手法です。

必要に応じてシステムの処理能力を柔軟に増減でき、災害時のデータ保護にも優れています。

従来の自社サーバー型と比較して、初期投資を抑えながら高い可用性を実現できます。


採用理由:

  • サーバーの購入・設置が不要なため、初期費用を約40%削減できた

  • 事業拡大に伴うスタッフ数・取引先数の増加にも、設定変更のみで対応可能

  • データは複数拠点に自動バックアップされ、災害時も事業継続できる体制を構築

  • セキュリティパッチの適用やメンテナンスをクラウド事業者が担当し、運用負荷を軽減


React + RESTful API設計

React・RESTful APIとは:Reactは、Webアプリケーションの画面を構築するための技術で、パソコンやスマートフォンのブラウザから快適に操作できる画面を実現します。

RESTful APIは、システム内部の機能を部品化する設計手法で、画面側(フロントエンド)と処理側(バックエンド)を分離することで、将来の機能追加や改修を容易にします。


本システムでの活用:

  • 直感的で応答性の高い操作画面を実現。従来システムと比較して操作研修時間を半減

  • 営業担当者が外出先からスマートフォンでスタッフ情報を検索・確認できるモバイル対応

  • 画面と処理の分離により、業務ルールの変更時に影響範囲を限定した改修が可能

  • 将来的に他システムとの連携や外部サービス(求人メディア等)との接続も容易に



開発プロセスと期間

ree

フェーズ1:要件定義・設計(2ヶ月)

現行業務の詳細なヒアリングと分析からプロジェクトを開始しました。

営業部門、コーディネーター部門、管理部門、経営層それぞれの視点から課題と要望を丁寧に収集し、システム化の優先順位を明確にしました。


特に、法令遵守に関わる業務フローは社労士の先生にも同席いただき、漏れのない要件定義を行いました。


主な活動:

  • 各部門へのヒアリング(延べ20回、40時間以上)と現行業務フローの可視化

  • 既存システム・Excelファイルのデータ構造分析と移行計画の策定

  • 画面遷移図・機能一覧・データベース設計書の作成とレビュー

  • 開発優先順位の決定と、3段階リリース計画(MVP→拡張→最適化)の合意


フェーズ2:開発・実装(6ヶ月)

アジャイル開発手法を採用し、2週間単位のスプリントで機能を順次開発・レビューするサイクルを回しました。

お客様には隔週でデモンストレーションを実施し、実際の操作感を確認いただきながら、細かな改善を重ねました。


開発体制:

  • プロジェクトマネージャー:1名

  • システムエンジニア:2名

  • フロントエンドエンジニア:1名

  • UI/UXデザイナー:1名


主な活動:

  • スタッフ・企業管理、契約管理、勤怠管理、給与計算、請求管理の各機能を順次開発

  • コンプライアンスチェック機能のルールエンジン構築と、法令要件の網羅性検証

  • 既存データの移行プログラム開発と、8,000名分のスタッフデータの整備・移行リハーサル

  • 外部システム(会計ソフト、銀行振込システム)との連携機能の開発


フェーズ3:テスト・移行・導入支援(2ヶ月)

本番稼働に向けた総合テストと、実データを使った並行稼働期間を設けました。

新旧システムの結果を突合することで、計算ロジックの正確性を担保しました。

また、全社員向けの操作研修を実施し、スムーズな移行を実現しました。


主な活動:

  • 総合テスト(正常系・異常系・負荷テスト)の実施と不具合修正

  • 過去3年分の契約・勤怠・給与データの本番移行と整合性確認

  • 部門別の操作研修(計6回、延べ参加者80名)と操作マニュアルの整備

  • 1ヶ月間の新旧システム並行稼働による結果検証

  • 本番稼働後2週間の集中サポート体制による問い合わせ対応


投資対効果


開発費用

総額:1,650万円


内訳:

  • システム設計・開発:1,250万円

  • データ移行・既存システム連携:180万円

  • UI/UXデザイン:100万円

  • 導入支援・研修:120万円

※上記に加え、クラウド利用料として月額約15万円(年間180万円)が発生


導入効果(年間)


直接的効果

業務工数削減効果:約720万円


  • スタッフ登録・契約処理の効率化により、コーディネーター4名分の工数を月40時間削減(年間480時間、人件費換算で約360万円)

  • 勤怠集計・給与計算・請求書発行の自動化により、管理部門の月末残業が月平均30時間削減(年間360時間、約180万円)

  • 経営報告資料の自動生成により、月次報告準備時間を月15時間削減(年間180時間、約180万円)


ミス・漏れ防止効果:約280万円

  • 請求漏れ・計算ミスの撲滅により、年間の売上損失約150万円を回収

  • 抵触日管理の自動化により、法令違反リスクに伴う潜在的損失(行政処分・信用低下)を回避

  • データ入力ミスによる手戻り作業の削減で、年間約130万円相当の工数を削減


間接的効果


営業力強化

  • 営業担当者の事務作業削減により、顧客訪問・商談時間が月平均12時間増加

  • マッチング精度向上による成約率アップで、新規取引先を年間15社獲得

  • スマートフォン対応により、外出先からの迅速な提案が可能に


従業員満足度・定着率向上

  • 単純作業の削減により、より付加価値の高い業務への時間配分が可能に

  • システム化による業務標準化で、新人の早期戦力化を実現(研修期間を1ヶ月短縮)

  • 残業時間削減により、ワークライフバランスが改善


投資回収期間:約1年6ヶ月


お客様の声

「導入前は、正直なところ『人材サービス業は人が資本。システム化で効率を上げても、結局は人の目利きと関係構築が大事』という思いがありました。複数のシステムとExcelを組み合わせた運用に限界を感じつつも、全面刷新への踏ん切りがつかなかったのです。 導入を決めたきっかけは、労働者派遣法の改正対応でした。手作業での管理に限界を感じ、このまま事業を拡大すれば、いつか大きなコンプライアンス事故を起こすのではないかという危機感がありました。御社を選んだのは、パッケージ製品の導入ではなく、当社の業務フローを深く理解した上でシステムを構築してくれる姿勢に信頼を感じたからです。 導入後、最も変わったのは『月末の風景』です。以前は月末月初になると管理部門が深夜まで残業し、営業担当者も勤怠確認の電話に追われていました。今は、勤怠データがリアルタイムで集まり、給与計算も請求書発行もほぼ自動。管理部門のメンバーから『月末が怖くなくなった』という声を聞いたときは、本当に導入して良かったと思いました。 印象的だったのは、ベテランのコーディネーターが『このシステム、私の頭の中を見透かしたみたいに作られている』と言ってくれたことです。長年の経験で培ったマッチングのコツが、システムのスコアリングロジックに反映されていて、若手コーディネーターの育成にも役立っています。 今では、システムは単なる効率化ツールではなく、当社の競争力の源泉になっています。お客様企業への提案スピード、スタッフへの対応品質、すべてがワンランク上がった実感があります。次は、蓄積されたデータを活用した需要予測や、より精緻なマッチングAIの導入を検討したいと考えています。」

(代表取締役社長)



今後の展開


短期的な改善(6ヶ月以内)

  • 派遣スタッフ向けマイページの機能拡充(給与明細閲覧、年末調整書類の電子提出対応)

  • 取引先企業向けポータルの開設(派遣スタッフの勤怠承認、契約更新手続きのオンライン化)

  • 帳票テンプレートの追加と、出力形式のカスタマイズ機能強化


中長期的な展開(1〜2年)

  • 蓄積データを活用した需要予測機能の開発(繁忙期の人員計画支援)

  • 機械学習を活用したマッチング精度のさらなる向上

  • 求人メディアとのAPI連携による、スタッフ募集業務の効率化


まとめ

人材サービス業は、求職者と企業の双方に価値を提供する社会的に重要な事業でありながら、その業務は多岐にわたり、法規制への対応も求められる複雑なビジネスです。


本プロジェクトでは、お客様の業務を深く理解した上で、分散していた情報を一元化し、業務フローを自動化することで、管理業務の工数を大幅に削減しながら、コンプライアンス体制を強化することができました。


システム導入の真の価値は、単なる効率化ではなく、スタッフ一人ひとりがより付加価値の高い業務に集中できる環境を作ることにあります。


お客様企業への提案品質の向上、派遣スタッフへのきめ細かなフォロー、そして経営判断のスピードアップ。これらが相まって、お客様の事業成長を持続的に支える基盤となっています。


私たちは、今後もお客様と共に、システムの進化を続けてまいります。

コメント


bottom of page