【開発実績】保護者との信頼関係を深める学習塾向け生徒・保護者ポータルシステム開発事例
- 開発部
- 15 時間前
- 読了時間: 10分

プロジェクト概要
少子化が進む中、学習塾業界では生徒一人ひとりへのきめ細かな対応と、保護者との密な連携が競争力の源泉となっています。
特に共働き世帯の増加により、保護者が塾に足を運ぶ時間を確保しにくくなる一方で、「子どもの学習状況をもっと詳しく知りたい」というニーズは年々高まっています。
今回ご依頼いただいたのは、埼玉県内で5教室を展開する学習塾進学ゼミS様(生徒数約320名、講師数18名)です。
保護者とのコミュニケーション強化と、教室運営の効率化を同時に実現できるポータルシステムの構築をご要望いただきました。
従来、同塾では電話連絡や紙の連絡帳、月1回の面談が保護者との主な接点でした。
しかし、電話がつながらない、連絡帳を見落とす、面談の日程調整に時間がかかるといった課題が山積し、講師の負担増加と保護者満足度の低下を招いていました。
本システムの導入により、保護者への連絡対応時間を月40時間削減、保護者満足度が導入前比で23ポイント向上、退塾率を前年比35%改善という成果を達成しました。
お客様が抱えていた課題
1. 保護者との連絡・情報共有に膨大な時間を消費
講師が本来注力すべき授業準備や生徒指導の時間が、事務的な連絡業務に奪われていました。
欠席連絡の電話対応が授業時間と重なり、1日平均15件の折り返し電話が発生
お知らせプリントの配布忘れや紛失により、同じ内容を何度も説明する手間が発生
保護者からの問い合わせ(授業内容、宿題の範囲、次回テスト日程など)への個別対応で1日2時間以上を消費
2. 生徒の学習状況を保護者にタイムリーに伝えられない
月1回の面談や学期ごとの成績表だけでは、保護者が子どもの学習状況を把握するのに不十分でした。
小テストや宿題の結果を保護者に伝える仕組みがなく、「塾で何をやっているかわからない」という声が多数
生徒の得意・苦手分野を保護者と共有できず、家庭学習のアドバイスが難しい状況
成績が下がり始めてから保護者に伝わるまでのタイムラグが大きく、対応が後手に回りがち
3. 授業の振替・スケジュール管理が煩雑
複数教室を展開する中で、振替授業の調整が大きな負担となっていました。
振替希望の電話を受け、各教室の空き状況を確認し、折り返し連絡するまでに平均2日かかる
振替の記録が紙ベースのため、二重予約や振替漏れのトラブルが月に3〜4件発生
保護者が振替可能な日時を把握できず、問い合わせの電話が集中する時期がある
解決策:家庭と教室をつなぐ生徒・保護者ポータルシステム
システムの基本的な仕組み
本システムは、保護者のスマートフォンやパソコンからいつでもアクセスできるWebポータルです。
生徒一人ひとりの学習状況、授業スケジュール、塾からのお知らせをリアルタイムで確認でき、振替予約や欠席連絡もオンラインで完結します。
講師側の管理画面では、出欠記録や成績入力を簡単に行え、入力した情報は即座に保護者へ共有されます。
分かりやすく例えると:
保護者用マイページ = 子ども専用の「学習ダッシュボード」
リアルタイム通知機能 = 塾と家庭をつなぐ「ホットライン」
オンライン振替予約 = 24時間対応の「受付カウンター」
保護者は「知りたいときに、すぐに知れる」安心感を得られ、講師は連絡業務から解放されて指導に集中できる
——双方にメリットをもたらす仕組みです。
主な機能と効果
1. 学習状況リアルタイム共有機能
何ができるか:授業ごとの学習内容、小テストの点数、宿題の提出状況、講師からのコメントを保護者がいつでも確認できます。
授業終了後、講師が5分程度で入力した内容が即座に保護者アプリへ反映
単元ごとの理解度を5段階で可視化し、苦手分野が一目でわかるグラフ表示
講師からの「今日のひとこと」で、授業中の様子や頑張りを具体的に伝達
お客様のメリット:
「塾で何をしているかわからない」という保護者の不安を解消
家庭での声かけや復習サポートがしやすくなり、学習効果が向上
面談時に事前情報を共有済みのため、より深い相談に時間を使える
2. オンライン振替予約・欠席連絡機能
何ができるか:保護者がスマートフォンから、24時間いつでも欠席連絡と振替予約を行えます。
各教室の空きコマをカレンダー形式で表示し、希望日時をタップするだけで予約完了
予約確定時に自動で確認メールとプッシュ通知を送信
振替期限のリマインダー機能で、振替忘れを防止
お客様のメリット:
電話がつながらないストレスから保護者を解放
振替調整にかかる講師の時間を月15時間削減
二重予約や振替漏れのトラブルがゼロに
3. お知らせ・イベント管理機能
何ができるか:塾からの連絡事項を一元管理し、確実に保護者へ届けます。
季節講習、保護者会、テスト日程などをカレンダーに自動表示
重要なお知らせは開封確認機能付きで、未読の保護者にリマインド送信
過去のお知らせをいつでも検索・確認可能なアーカイブ機能
お客様のメリット:
プリント配布・回収の手間を大幅削減
「聞いていない」「知らなかった」というトラブルを防止
保護者の情報格差をなくし、公平な情報提供を実現
技術的な特徴(専門用語を分かりやすく解説)
レスポンシブWebアプリケーション
レスポンシブWebアプリケーションとは:スマートフォン、タブレット、パソコンなど、どの端末からアクセスしても画面サイズに応じて自動的に表示が最適化されるWebサイトの仕組みです。
専用アプリのインストールが不要で、ブラウザからURLにアクセスするだけで利用できます。
採用理由:
保護者がアプリをダウンロードする手間を省き、導入ハードルを最小化
iPhone・Android両対応のアプリを別々に開発する必要がなく、開発コストを抑制
塾側でシステム更新を行えば全利用者に即時反映され、運用が容易
ブックマーク追加でホーム画面にアイコン配置でき、アプリと同様の使い勝手を実現
プッシュ通知システム
プッシュ通知とは:スマートフォンに自動的にお知らせを届ける仕組みです。
アプリを開いていなくても、LINEのメッセージのように画面に通知が表示されるため、重要な情報を見逃しにくくなります。
本システムでの活用:
欠席連絡の受付完了や振替予約確定を即座に通知し、保護者に安心感を提供
授業後の学習報告アップロード時に通知し、タイムリーな情報共有を促進
重要なお知らせ(休講連絡、面談日程変更など)を確実に届ける
通知頻度は保護者が自分で設定可能にし、煩わしさを軽減
開発プロセスと期間

フェーズ1:要件定義・設計(1ヶ月)
現場の講師と保護者双方の声を丁寧にヒアリングし、本当に必要な機能を見極めました。
当初ご要望いただいた機能の中から優先順位をつけ、予算内で最大の効果を発揮できる構成をご提案しました。
主な活動:
各教室の講師5名、保護者10名へのインタビュー調査
既存業務フローの可視化と課題の優先順位付け
画面遷移図とワイヤーフレームの作成・確認
セキュリティ要件(個人情報保護)の定義
フェーズ2:開発・実装(3ヶ月)
シンプルで使いやすいインターフェースを重視し、ITに不慣れな保護者でも迷わず操作できるデザインを追求しました。
開発中も定期的にデモをお見せし、ご意見を反映しながら進めました。
開発体制:
プロジェクトマネージャー:1名
システムエンジニア:1名
フロントエンドエンジニア:1名
UI/UXデザイナー:1名(兼任)
主な活動:
保護者向けポータル画面の開発(マイページ、カレンダー、お知らせ一覧)
講師向け管理画面の開発(出欠入力、学習報告作成、お知らせ配信)
既存の生徒管理データベースとの連携機能構築
スマートフォン表示の最適化とプッシュ通知機能の実装
フェーズ3:テスト・移行・導入支援(1ヶ月)
1教室で先行導入し、実際の運用で問題がないか検証した後、全5教室へ展開しました。
講師向けの操作研修と、保護者向けの利用ガイドも丁寧に準備しました。
主な活動:
本部教室での2週間のパイロット運用と課題洗い出し
パイロット運用で得た改善点を反映した最終調整
全講師向け操作研修の実施(各教室2時間×5教室)
保護者向け利用開始のお知らせと操作ガイド動画の作成
導入後1ヶ月間の問い合わせ対応とフォローアップ
投資対効果
開発費用
総額:500万円
内訳:
システム設計・開発:380万円
UI/UXデザイン:50万円
テスト・品質保証:30万円
導入支援・研修:40万円
導入効果(年間)
直接的効果
業務効率化による人件費削減:約180万円
電話対応・折り返し連絡の削減:月25時間 × 12ヶ月 × 時給1,500円 = 45万円
振替調整業務の削減:月15時間 × 12ヶ月 × 時給1,500円 = 27万円
プリント作成・配布業務の削減:月10時間 × 12ヶ月 × 時給1,500円 = 18万円
問い合わせ対応の削減:月40時間 × 12ヶ月 × 時給1,500円 = 72万円
講師の残業削減による人件費圧縮効果:年間18万円
退塾防止による売上維持:約200万円
退塾率が前年比35%改善(年間退塾者数:28名→18名)
10名の退塾防止 × 平均月謝2万円 × 平均残存月数10ヶ月 = 200万円
間接的効果
保護者満足度・信頼関係の向上
保護者アンケートの満足度スコアが68点→91点に向上(100点満点)
紹介入塾の増加(前年比15%増)
保護者会・面談への出席率が12ポイント向上
講師の働きやすさ向上
事務作業削減により授業準備・生徒対応に集中できる時間が増加
保護者からのクレーム件数が月平均5件→1件に減少
講師アンケートの職場満足度が向上し、離職率が低下
投資回収期間:約1年4ヶ月
お客様の声
「正直なところ、最初は『本当に保護者がスマホで見てくれるのか』と半信半疑でした。うちの塾に通っているお子さんの保護者は30代後半から50代が中心で、全員がITに詳しいわけではありません。でも、いざ始めてみると、導入初月で登録率が95%を超えたんです。『待ってました』という声がたくさん届いて驚きました。 特に反響が大きかったのは、授業後の学習報告です。『今日は〇〇の単元を頑張りました。△△の問題で最初は苦戦しましたが、最後には自力で解けるようになりました』といった講師のコメントを、保護者がその日のうちに見られる。それだけで、夕食時の会話が変わったというお声をいただきます。 振替予約のオンライン化も大好評です。以前は『電話したけどつながらなかった』というご不満をよくいただいていました。今は夜中でも予約できるので、仕事で忙しい保護者の方にとても喜ばれています。 何より嬉しいのは、講師たちが生徒と向き合う時間を取り戻せたことです。電話対応に追われていた時間を、一人ひとりの生徒の様子を見て、声をかけて、学習報告を書く時間に充てられるようになりました。結果として、それが保護者の満足度や退塾防止につながっている。良い循環が生まれています。」
(進学ゼミS 代表 田中 雅之 様)
今後の展開
短期的な改善(6ヶ月以内)
保護者同士が情報交換できるコミュニティ掲示板機能の追加検討
学習報告テンプレートの拡充による講師の入力負担さらなる軽減
定期テスト対策スケジュールの自動提案機能の追加
中長期的な展開(1-2年)
成績データの蓄積を活かした学習アドバイス自動生成機能
オンライン面談予約・ビデオ面談機能の追加
兄弟姉妹の情報を一括管理できるファミリーアカウント機能
まとめ
今回のプロジェクトでは、500万円という限られた予算の中で、保護者との接点を「電話と紙」から「デジタル」へと転換し、学習塾における顧客コミュニケーションの質を大きく向上させることができました。
講師の業務負担軽減と保護者満足度向上という、一見トレードオフに見える課題を同時に解決できた点が、本システムの大きな成果です。
学習塾にとって、保護者との信頼関係は生徒の継続率を左右する最重要要素です。
本システムは単なる連絡ツールではなく、「塾の見える化」を通じて保護者の安心と信頼を生み出す基盤となります。
今後もお客様とともに改善を重ね、地域に選ばれる塾づくりをサポートしてまいります。




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