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【開発実績】業務効率80%向上を実現する旅行代理店向け予約・手配管理システム開発事例

  • 開発部
  • 11月20日
  • 読了時間: 13分
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プロジェクト概要

法人向け旅行手配を専門とする旅行代理店業界では、企業の出張需要回復とともにビジネストラベル市場が急速に拡大しています。


一方で、航空券・宿泊・交通機関など複数の手配を同時に管理する業務は複雑化の一途をたどり、従来のExcelや紙ベースの管理では対応が困難になっていました。


今回ご依頼いただいたのは、従業員20名の法人向け旅行代理店A社様です。

年間約3,000件の法人旅行案件を取り扱う同社では、案件管理から見積作成、各種手配、日程表作成、請求管理まで、すべての業務プロセスを一元管理できるシステムの構築をご要望されました。


従来、同社では案件ごとにExcelファイルを作成し、航空券や宿泊の手配状況を手動で更新していました。

見積書や日程表も個別に作成しており、1件の案件処理に平均4時間を要していました。


また、顧客への進捗報告も電話やメールで個別対応しており、担当者の負担が大きな課題となっていました。


本システムの導入により、案件処理時間を平均4時間から45分へと約80%削減することに成功。

年間の業務工数を約6,500時間削減し、売上は前年比35%増加を達成しました。


さらに、顧客ポータルの導入により顧客満足度スコアが78点から92点へ向上するなど、業務効率化と顧客サービス向上の両立を実現しました。



お客様が抱えていた課題


1. 複雑な手配管理による業務負荷の増大

法人旅行では、1つの案件に対して航空券、宿泊施設、貸切バス、会議室など複数の手配が発生します。

これらの予約状況、確定状況、変更履歴を正確に把握することが困難でした。


  • 航空券・宿泊・交通機関の予約状況がExcelファイルに分散し、全体像の把握に毎回30分以上かかっていた

  • 予約変更が発生した際、関連するすべてのファイルを手動で更新する必要があり、更新漏れが月平均5件発生していた

  • 手配先への発注書作成が手作業のため、1件あたり平均45分を要し、繁忙期には残業が常態化していた


2. 見積・請求業務の非効率性

見積書や請求書の作成は、過去の案件データを参照しながら手作業で行っており、作成時間の長さと人的ミスが問題でした。


  • 見積書作成に1件あたり平均1.5時間を要し、急ぎの依頼への対応が困難だった

  • 過去の類似案件を検索する仕組みがなく、毎回ゼロから料金を調べ直していた

  • 請求漏れや金額誤りが四半期に2〜3件発生し、顧客からの信頼低下につながっていた


3. 顧客対応における情報共有の限界

顧客への進捗報告や日程表の共有はメールベースで行われており、リアルタイムな情報提供ができていませんでした。


  • 「現在の手配状況を教えてほしい」という問い合わせが1日平均15件あり、その都度担当者が対応していた

  • 日程表の修正が発生するたびにPDFを再作成してメール送信する必要があり、最新版の管理が煩雑だった

  • 担当者不在時に顧客からの問い合わせに対応できず、折り返し連絡までに平均4時間を要していた



解決策:業務全体を一気通貫で管理する統合型予約・手配管理システム


システムの基本的な仕組み

本システムは、旅行代理店の業務フロー全体をカバーする統合管理プラットフォームです。

案件の受付から見積作成、各種手配、日程表作成、請求管理、そして顧客への情報共有まで、すべてのプロセスを1つのシステム上で完結できます。


システムの中核となるのは「案件データベース」です。

1つの案件に紐づくすべての情報(顧客情報、旅行者リスト、手配内容、見積・請求情報、日程表など)が一元管理され、どの画面からでも必要な情報にアクセスできます。


分かりやすく例えると:

  • 案件データベース = 旅行案件の「カルテ」。1冊のファイルにすべての情報がまとまっている状態

  • 手配管理機能 = 複数の予約を束ねる「コントロールタワー」。航空・宿泊・交通の状況を一画面で把握

  • 顧客ポータル = お客様専用の「マイページ」。進捗確認や日程表閲覧がいつでも可能


これにより、「あの案件の航空券は予約済み?」「請求書は送った?」といった確認作業が不要になり、本来の営業活動や顧客対応に集中できる環境が整いました。



主な機能と効果


1. 統合案件管理機能

何ができるか:案件の受付から完了まで、すべての進捗をステータス管理できます。

案件一覧画面では、対応中の案件がカード形式で表示され、優先度や期限に応じた並び替えが可能です。


  • 案件ステータス(見積中/手配中/確定/完了)をワンクリックで更新

  • 担当者別、顧客別、出発日別など多様な切り口での案件検索・絞り込み

  • 案件に関するメモや社内連絡事項を時系列で記録し、チーム内で共有


お客様のメリット:

  • 朝の案件確認作業が30分から5分に短縮され、1日のスタートがスムーズに

  • 担当者間の引き継ぎがシステム上で完結し、情報伝達ミスがゼロに

  • 「対応漏れ」のアラート機能により、期限超過案件が月平均5件からゼロに減少


2. スマート見積作成機能

何ができるか:過去の案件データと連携した見積書を自動生成します。

顧客名や人数、日程を入力するだけで、過去の類似案件をAIが提案し、料金体系を自動計算します。


  • 航空会社・ホテルの料金マスタと連携し、最新料金を自動反映

  • 複数パターンの見積書を同時作成し、顧客への提案幅を拡大

  • 見積書のPDF出力およびワンクリックでのメール送信機能


お客様のメリット:

  • 見積作成時間が平均1.5時間から15分へと約90%削減

  • 過去実績に基づく適正価格の提示により、成約率が23%向上

  • 見積履歴が自動保存され、「以前の見積と同条件で」という依頼にも即座に対応可能


3. 手配一括管理機能

何ができるか:航空券、宿泊施設、貸切バス、会議室など、複数カテゴリの手配状況を1つの画面で管理します。

手配先への発注書も自動生成され、FAXまたはメールで送信できます。


  • 手配カテゴリ別の進捗状況をガントチャート形式で可視化

  • 予約番号、手配先担当者名、確認期限などを一元管理

  • 手配変更時の影響範囲を自動検知し、関連する手配項目をハイライト表示


お客様のメリット:

  • 手配状況の確認作業が1件あたり15分から1分に短縮

  • 発注書作成の自動化により、1件あたり45分の作業がワンクリックで完了

  • 変更発生時の見落としがなくなり、手配ミスによるクレームがゼロに


4. 日程表自動生成機能

何ができるか:手配情報をもとに、旅行者向けの日程表を自動生成します。

デザインテンプレートを選択するだけで、高クオリティな日程表が完成します。


  • 時系列での行程表示、地図情報の埋め込み、緊急連絡先一覧を自動挿入

  • 日程変更時はボタン1つで日程表を再生成し、顧客ポータルへ即座に反映

  • PDF出力に加え、スマートフォン対応のWeb日程表としても共有可能


お客様のメリット:

  • 日程表作成時間が平均2時間から10分に短縮

  • デザイン品質が統一され、企業ブランディングの向上に貢献

  • 旅行者からの「日程表が見やすい」という評価が増加し、リピート率向上に寄与


5. 請求管理・売上分析機能

何ができるか:案件完了後の請求書発行から入金管理までをシステム化します。

売上データは自動集計され、月次・四半期・年次のレポートを即座に出力できます。


  • 請求書のPDF自動生成とメール送信のワンストップ処理

  • 入金予定日のアラート機能と未入金案件の自動リマインド

  • 顧客別・案件種別・月別の売上推移をダッシュボードで可視化


お客様のメリット:

  • 請求漏れがゼロになり、四半期あたり約80万円の機会損失を防止

  • 月次の売上集計作業が2日から2時間に短縮

  • 売上傾向の可視化により、営業戦略の立案が容易に


6. 顧客ポータル機能

何ができるか:顧客企業の担当者が、自社の旅行案件をオンラインで確認できる専用ポータルサイトを提供します。


  • ログイン後、進行中・過去の案件一覧と詳細をいつでも閲覧可能

  • 最新の日程表をリアルタイムで確認し、PDFダウンロードも可能

  • 新規依頼や変更依頼をポータル上から直接送信できるフォーム機能


お客様のメリット:

  • 「進捗確認」の電話問い合わせが1日15件から2件に激減

  • 24時間365日、顧客が自分のタイミングで情報確認できる利便性を提供

  • 顧客満足度調査のスコアが78点から92点へ14ポイント向上



技術的な特徴(専門用語を分かりやすく解説)


クラウドネイティブアーキテクチャ

クラウドネイティブとは:従来の「自社にサーバーを置く」方式ではなく、インターネット上のクラウドサービス(AWS)を活用してシステムを構築・運用する手法です。


サーバーの購入や保守が不要になり、必要に応じてシステムの処理能力を柔軟に増減できます。


採用理由:

  • 初期投資を抑え、月額利用料モデルで導入しやすいコスト構造を実現

  • 繁忙期(年度末や大型連休前)のアクセス集中にも自動で対応可能

  • データの自動バックアップにより、災害時のデータ消失リスクを最小化

  • システムのアップデートや機能追加がスムーズに実施可能


レスポンシブWebアプリケーション


レスポンシブWebアプリケーションとは:パソコン、タブレット、スマートフォンなど、どの端末からアクセスしても最適な画面レイアウトで表示されるWebアプリケーションです。

専用アプリのインストールが不要で、ブラウザからアクセスするだけで利用できます。


本システムでの活用:

  • 営業担当者が外出先からスマートフォンで案件状況を確認・更新可能

  • 顧客ポータルもレスポンシブ対応し、移動中の確認ニーズに対応

  • 端末を選ばないため、新入社員への導入研修がスムーズ

  • アプリのバージョン管理が不要で、常に最新機能を利用可能


RESTful API連携


RESTful APIとは:異なるシステム間でデータをやり取りするための標準的な通信方式です。

これにより、外部サービスとの連携や将来的な機能拡張が容易になります。


本システムでの活用:

  • 会計ソフト(freee、マネーフォワード等)との請求データ連携に対応

  • 将来的なGDS(航空予約システム)との直接連携を見据えた設計

  • 顧客企業の経費精算システムとのデータ連携も技術的に可能

  • 社内の既存システム(グループウェア等)との連携拡張にも対応



開発プロセスと期間

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フェーズ1:要件定義・設計(2ヶ月)

お客様の現状業務を詳細にヒアリングし、システム化すべき範囲と優先順位を明確にしました。

特に、日々の業務フローを実際に見学させていただき、現場の声を設計に反映しました。


主な活動:

  • 経営層・現場担当者へのヒアリング(計8回、延べ24時間)

  • 現行業務フローの可視化と課題の構造化

  • 画面遷移図とワイヤーフレームの作成・レビュー

  • システム要件定義書の作成と合意形成


フェーズ2:開発・実装(6ヶ月)

アジャイル開発手法を採用し、2週間ごとに動作するシステムをお見せしながら開発を進めました。

お客様からのフィードバックを随時反映し、実際の業務に即したシステムを構築しました。


開発体制:

  • プロジェクトマネージャー:1名

  • システムエンジニア:2名

  • フロントエンドエンジニア:1名

  • UI/UXデザイナー:1名


主な活動:

  • データベース設計と基盤構築(案件・顧客・手配情報の関連設計)

  • 各機能モジュールの開発とユニットテスト

  • 2週間ごとのデモンストレーションとフィードバック収集(計12回)

  • セキュリティ対策の実装(SSL暗号化、アクセス権限管理、ログ監視)


フェーズ3:テスト・移行・導入支援(2ヶ月)

本番環境での安定稼働に向けて、徹底したテストと段階的なデータ移行を実施しました。

また、全スタッフを対象とした研修を行い、スムーズな業務移行を支援しました。


主な活動:

  • 総合テスト(業務シナリオに基づく100ケース以上の検証)

  • 過去3年分の顧客・案件データの移行と整合性確認

  • 操作マニュアルの作成(画面キャプチャ付き80ページ)

  • 全スタッフ向け研修の実施(座学1日+OJT2週間)

  • 本番稼働後2週間の集中サポート体制


投資対効果


開発費用

総額:1,650万円


内訳:

  • システム設計・開発:1,200万円

  • クラウドインフラ初期構築:150万円

  • データ移行・導入支援:200万円

  • 導入研修・マニュアル作成:100万円

※月額運用費用:8万円(クラウド利用料、保守サポート含む)


導入効果(年間)


直接的効果

効果1:業務工数削減による人件費効果 約1,080万円

  • 案件処理時間の短縮(4時間→45分)により、年間約6,500時間の工数削減

  • 時間単価1,600円換算で年間約1,040万円相当

  • 残業時間の削減(月平均30時間→5時間)による追加効果約40万円


効果2:売上機会の拡大 約840万円

  • 業務効率化により対応可能案件数が年間3,000件から4,200件へ40%増加

  • 新規案件の取りこぼし解消による売上増加

  • 成約率向上(見積精度向上)による効果を含む


効果3:請求漏れ・ミス防止 約80万円

  • 四半期あたり2〜3件発生していた請求漏れがゼロに

  • 金額誤りによる追加対応コストの削減


間接的効果

顧客満足度・リピート率の向上

  • 顧客満足度スコアが78点から92点へ14ポイント向上

  • リピート依頼率が65%から78%へ13ポイント向上

  • 顧客紹介による新規取引先が年間8社増加


従業員満足度・定着率の向上

  • 残業時間の大幅削減によるワークライフバランス改善

  • 単純作業からの解放による業務のやりがい向上

  • 新入社員の早期戦力化(研修期間が3ヶ月から1ヶ月に短縮)


経営判断の迅速化

  • リアルタイムの売上・案件状況の可視化

  • 顧客別・案件種別の収益分析による戦略立案の精度向上

  • データに基づく営業施策の実行が可能に


投資回収期間:約10ヶ月


初年度の直接的効果(約2,000万円)により、開発費用1,650万円を約10ヶ月で回収。

2年目以降は年間約1,900万円(運用費用96万円控除後)の効果が継続的に見込まれます。



お客様の声

「正直に申し上げると、導入前は『20名規模の会社にここまでのシステムが必要なのか』という不安がありました。Excelでの管理も10年以上続けてきて、それなりに回っていたつもりでしたから。 ただ、ここ数年で案件数が急増し、スタッフの残業が常態化していました。特に繁忙期は土日出勤も珍しくなく、このままでは優秀な人材が離れてしまうという危機感がありました。 導入を決めた最大の理由は、雲海設計さんが『まずは現場を見せてください』とおっしゃったことです。机上の提案ではなく、実際の業務を見た上で課題を整理し、本当に必要な機能に絞った提案をしてくれました。『全部入り』の豪華なシステムではなく、私たちの規模に合った現実的な提案だったことが信頼につながりました。 導入後、最も変わったのはスタッフの表情です。以前は『また残業か…』という雰囲気でしたが、今は定時で帰れる日が当たり前になりました。空いた時間で顧客への提案内容を練ったり、新規営業に回ったりと、本来やるべき仕事に集中できています。 印象的だったのは、導入3ヶ月後にお客様から『最近、対応が早くなりましたね』と言われたことです。私たちは日々の業務に追われて気づいていなかったのですが、お客様の目にも変化が見えていたんですね。顧客ポータルも好評で、『出張中に日程表を確認できて助かる』という声を多くいただいています。 この投資は、単なる業務効率化ではなく、会社の成長基盤への投資だったと実感しています。おかげさまで、今期は過去最高の売上を達成できそうです。」

(代表取締役)



今後の展開


短期的な改善(6ヶ月以内)

  • AIによる需要予測機能の追加(過去データに基づく繁忙期・閑散期の予測)

  • チャット機能の実装(顧客ポータルからのリアルタイム問い合わせ対応)

  • モバイルアプリ版の開発(プッシュ通知による手配期限アラート)


中長期的な展開(1-2年)

  • 航空会社・ホテルチェーンの予約システムとのAPI直接連携

  • 法人顧客向けの経費精算システムとのデータ連携強化

  • 多言語対応による海外旅行手配業務への対応拡大

  • 蓄積データを活用した経営ダッシュボードの高度化


まとめ

本プロジェクトでは、法人向け旅行代理店様の業務全体を包括的にシステム化することで、案件処理時間80%削減、年間業務工数6,500時間削減という大幅な効率化を実現しました。


同時に、顧客ポータルの導入により顧客満足度を14ポイント向上させ、業務効率化と顧客サービス向上の両立を達成しました。


20名規模の企業様であっても、適切な規模感のシステム投資により、大きな業務改善効果を得ることが可能です。


本事例が、同様の課題を抱える旅行代理店様、あるいは複雑な手配管理業務を行うサービス業の皆様にとって、システム化検討の一助となれば幸いです。

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