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【開発実績】SNSマーケティングの成果を最大化するインフルエンサー管理システム開発事例

  • 開発部
  • 10月31日
  • 読了時間: 11分
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プロジェクト概要

SNSの普及に伴い、インフルエンサーマーケティングは企業の重要な販促手段となっています。

国内市場規模は2024年に860億円を超え、多くの企業がインフルエンサーを活用したプロモーションに注力しています。


今回ご依頼いただいたのは、年間100名以上のインフルエンサーと協業する大手化粧品メーカー様です。

「増え続けるインフルエンサーの情報管理と効果測定を一元化し、マーケティングROIを可視化したい」というご要望でした。


従来は、インフルエンサーの基本情報をExcelで管理し、投稿の効果測定は各SNSの管理画面を個別に確認、契約書や請求書は紙ベースで処理するという状況でした。担当者は月に40時間以上をデータ集計作業に費やし、効果的なインフルエンサー選定の判断材料も不足していました。


本システムの導入により、インフルエンサー情報の一元管理と効果測定の自動化を実現。

データ集計作業は月5時間まで短縮され、投稿あたりの平均エンゲージメント率は前年比35%向上を達成しました。


お客様が抱えていた課題


1. インフルエンサー情報の分散管理による非効率

100名を超えるインフルエンサーの情報が、担当者ごとに異なるExcelファイルや個人のメモで管理されており、全体像の把握が困難な状態でした。


  • 同じインフルエンサーに複数の担当者が別々にコンタクトしてしまうケースが月に数件発生

  • 過去の案件実績や評価が共有されず、同じ失敗を繰り返すことがあった

  • 担当者の異動・退職時に引き継ぎが不十分で、重要な関係性情報が失われていた


2. 効果測定の手作業による負担と精度の問題

Instagram、X(旧Twitter)、YouTube、TikTokなど複数のSNSプラットフォームの投稿効果を手動で集計しており、膨大な時間と労力がかかっていました。


  • 各プラットフォームの管理画面に個別ログインし、数値を転記する作業に週10時間以上を費やしていた

  • 集計のタイミングがバラバラで、正確な比較分析ができなかった

  • 売上との相関分析ができず、「どのインフルエンサーが本当に売上に貢献しているか」が不明だった


3. 契約・支払い管理の煩雑さ

インフルエンサーごとに異なる契約条件(報酬体系、投稿回数、期間など)の管理と、毎月の支払い処理に多大な手間がかかっていました。


  • 契約書は紙ベースでファイリングされ、条件確認のたびに書類を探す必要があった

  • 成果報酬型の場合、支払額の計算に時間がかかりミスも発生していた

  • 支払い漏れや二重支払いが年に数回発生し、信頼関係に影響が出ていた


解決策:データドリブンなインフルエンサー管理システム


システムの基本的な仕組み

本システムは、インフルエンサーとの協業に関わるすべての情報を一つのプラットフォームに集約し、データに基づいた意思決定を可能にするクラウド型管理システムです。


各SNSプラットフォームとAPI連携することで、投稿データやエンゲージメント情報を自動で取得・分析します。


分かりやすく例えると:

  • インフルエンサーデータベース = 人材紹介会社の「候補者管理システム」

  • 効果測定ダッシュボード = 株式投資の「ポートフォリオ分析画面」

  • 契約・支払い管理 = 会社の「経費精算システム」


これら3つの機能が連携することで、インフルエンサーの「発掘→契約→実施→効果測定→改善」というサイクル全体を一気通貫で管理できます。


主な機能と効果


1. インフルエンサーデータベース機能


何ができるか:協業中・候補・過去案件のインフルエンサー情報を一元管理し、最適な人材を素早く見つけ出せる検索・フィルタリング機能を提供します。


  • フォロワー数、エンゲージメント率、得意ジャンル、過去実績などの詳細プロフィール管理

  • 年齢層・地域・興味関心などフォロワー属性の分析データ表示

  • 過去案件の評価(5段階)とコメントの蓄積、社内共有機能


お客様のメリット:

  • 案件に最適なインフルエンサーを検索条件で即座に絞り込み、選定時間を70%短縮

  • 過去の実績データに基づく客観的な選定が可能になり、キャンペーン成功率が向上

  • 担当者間での情報共有により、属人化を解消し組織としてのナレッジを蓄積


2. 効果測定・分析ダッシュボード機能


何ができるか:Instagram、X、YouTube、TikTokの投稿データを自動取得し、リアルタイムでキャンペーン効果を可視化するダッシュボードを提供します。


  • いいね数、コメント数、シェア数、保存数、リーチ数などの指標を自動集計

  • インフルエンサー別・キャンペーン別・期間別の比較分析レポート自動生成

  • CPE(エンゲージメント単価)、CPR(リーチ単価)などのROI指標を自動計算


お客様のメリット:

  • 月40時間かかっていたデータ集計作業が月5時間に短縮(87%削減)

  • リアルタイムの効果把握により、キャンペーン途中での施策修正が可能に

  • 定量データに基づく予算配分の最適化で、マーケティングROIが25%向上


3. 契約・支払い管理機能


何ができるか:インフルエンサーごとの契約条件をデジタル管理し、実績に基づく報酬計算から支払い処理までを自動化します。


  • 契約書のデジタル保管と条件(報酬、投稿回数、期間、禁止事項など)の構造化管理

  • 固定報酬・成果報酬・ハイブリッド型など多様な報酬体系に対応した自動計算

  • 支払い予定日のリマインド通知と経理システムへのデータ連携


お客様のメリット:

  • 契約条件の確認がワンクリックで完了、確認作業時間を90%削減

  • 報酬計算ミスがゼロになり、インフルエンサーとの信頼関係が向上

  • 支払い漏れ・遅延がなくなり、優良インフルエンサーとの継続的な協業関係を構築


技術的な特徴(専門用語を分かりやすく解説)


SNS API連携


SNS API連携とは:Instagram、X、YouTubeなどの各SNSプラットフォームが提供する「データ取得の窓口」を利用して、投稿データやフォロワー情報を自動的に取得する仕組みです。人が管理画面を見なくても、システムが自動でデータを集めてきてくれます。


採用理由:

  • 手作業でのデータ転記が不要になり、ヒューマンエラーを完全に排除

  • 数分〜数時間ごとの自動更新により、常に最新データでの分析が可能

  • 将来的な新プラットフォーム対応も、API追加で柔軟に拡張可能

  • 各SNSの公式データを利用するため、数値の信頼性が高い


クラウドネイティブアーキテクチャ


クラウドネイティブアーキテクチャとは:自社でサーバーを持たず、AWSなどのクラウドサービス上でシステムを稼働させる設計手法です。


インターネット環境があれば、オフィス・自宅・外出先のどこからでもアクセスでき、利用量に応じてシステムの処理能力を自動で調整できます。


本システムでの活用:

  • キャンペーン時のアクセス集中にも自動でサーバーを増強し、安定稼働を実現

  • 初期のサーバー購入費用が不要で、月額利用料のみのコスト構造

  • データは自動バックアップされ、災害時も事業継続が可能

  • セキュリティパッチの自動適用により、常に最新のセキュリティ状態を維持


開発プロセスと期間

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フェーズ1:要件定義・設計(2ヶ月)

お客様のマーケティング部門、広報部門、経理部門の担当者様へのヒアリングを通じて、現状の業務フローと課題を詳細に把握しました。

特に、効果測定の粒度や契約管理のバリエーションについて、実際の案件データをもとに要件を具体化しました。


主な活動:

  • 各部門へのヒアリング(計15回、延べ30時間)

  • 現行Excelデータの分析と移行計画策定

  • 各SNSプラットフォームのAPI仕様調査と取得可能データの整理

  • UI/UXデザインのプロトタイプ作成とユーザビリティテスト


フェーズ2:開発・実装(6ヶ月)

アジャイル開発手法を採用し、2週間ごとに動作するシステムをお見せしながら、お客様のフィードバックを反映して開発を進めました。

特にダッシュボードのデザインは、実際のデータを入れて何度も改善を重ねました。


開発体制:

  • プロジェクトマネージャー:1名

  • システムエンジニア:2名

  • フロントエンドエンジニア:1名

  • UI/UXデザイナー:1名


主な活動:

  • Instagram、X、YouTube、TikTokの各API連携機能の開発

  • インフルエンサーデータベースと検索機能の実装

  • 効果測定ダッシュボードの開発(12回の改善イテレーション)

  • 契約・支払い管理機能と経理システム連携の実装


フェーズ3:テスト・移行・導入支援(2ヶ月)

既存のExcelデータ約3,000件のクレンジングと移行、全ユーザー(約30名)への操作研修を実施しました。

本番稼働後2週間は開発チームがオンサイトで待機し、問い合わせに即座に対応できる体制を整えました。


主な活動:

  • 総合テスト(機能テスト、負荷テスト、セキュリティテスト)

  • 既存データのクレンジング(重複排除、フォーマット統一)と移行作業

  • 部門別の操作研修(各2時間×5回)

  • 操作マニュアルとFAQドキュメントの作成

  • 本番稼働後の伴走支援と初期トラブル対応


投資対効果


開発費用

総額:1,800万円


内訳:

  • システム設計・開発:1,350万円

  • SNS API連携・テスト:200万円

  • UI/UXデザイン:100万円

  • 導入支援・研修:150万円


導入効果(年間)


直接的効果

人件費削減:約480万円


  • データ集計作業の削減:月35時間 × 12ヶ月 × 時給3,000円 = 126万円

  • 契約・支払い管理の効率化:月20時間 × 12ヶ月 × 時給3,000円 = 72万円

  • インフルエンサー選定時間の短縮:月30時間 × 12ヶ月 × 時給3,500円 = 126万円

  • 各種確認・調整作業の削減:月15時間 × 12ヶ月 × 時給3,500円 = 63万円

  • レポート作成時間の削減:月25時間 × 12ヶ月 × 時給3,000円 = 90万円


マーケティングROI向上:約720万円

  • データに基づく最適なインフルエンサー選定により、同一予算でのエンゲージメント獲得数が25%向上

  • 年間インフルエンサーマーケティング予算3,000万円に対し、効果換算で約720万円の価値向上


間接的効果

組織力の向上

  • 担当者の異動・退職時も情報が確実に引き継がれ、ナレッジが蓄積

  • 新人担当者の立ち上がり期間が3ヶ月から1ヶ月に短縮

  • データドリブンな意思決定文化の醸成


インフルエンサーとの関係強化

  • 支払いの正確性・迅速性向上により、優良インフルエンサーからの信頼獲得

  • 過去実績の可視化により、継続案件の提案がしやすくなった

  • インフルエンサーからの紹介による新規開拓が増加


投資回収期間:約1年6ヶ月


お客様の声

「導入前は、月末になるとマーケティング部のメンバー全員がExcelと格闘している状態でした。各SNSの管理画面を開いては数字を転記し、それをまた別のExcelで集計して…という作業を毎月繰り返していたんです。正直、『この作業に意味があるのか』と疑問に思うこともありました。 このシステムの導入を決めたのは、デモを見た瞬間でした。ダッシュボードにリアルタイムでデータが表示され、インフルエンサーごとの貢献度が一目で分かる。『これが欲しかったんだ』と思いました。 導入後、最も変わったのはチームの議論の質です。以前は『なんとなくこのインフルエンサーが良さそう』という感覚的な話が多かったのですが、今では『CPEがいくらで、ターゲット層へのリーチ率がこれだけあるから』という具体的なデータをもとに議論できるようになりました。 印象的だったのは、導入3ヶ月後のキャンペーンです。システムの分析機能を使って、フォロワー数は少ないけれどエンゲージメント率が非常に高いマイクロインフルエンサー5名を新たに起用したところ、従来の大型インフルエンサー1名起用時と比べて、同じ予算でエンゲージメント数が2倍になったんです。データがなければ絶対に気づけなかった発見でした。 今では、このシステムなしでインフルエンサーマーケティングを行うことは考えられません。単なる業務効率化ツールではなく、マーケティング戦略の立案に欠かせないパートナーになっています。」

(マーケティング部 部長)


今後の展開


短期的な改善(6ヶ月以内)

  • AIによるインフルエンサー推薦機能:過去の成功案件データを学習し、キャンペーン内容に最適なインフルエンサー候補を自動提案

  • 競合分析機能:競合他社が起用しているインフルエンサーの把握と、差別化戦略の立案支援

  • モバイルアプリ対応:外出先からでもキャンペーン状況をリアルタイムで確認可能に


中長期的な展開(1-2年)

  • 売上データ連携:ECサイトや店舗POSとの連携により、インフルエンサー投稿から実売上への貢献度を直接測定

  • インフルエンサー向けポータル:協業インフルエンサー専用の案件確認・報酬確認画面を提供し、コミュニケーションを効率化

  • 予測分析機能:過去データから投稿タイミングやコンテンツタイプごとの効果を予測し、最適な施策を提案


まとめ

インフルエンサーマーケティングは、適切に管理・分析することで大きな成果を生み出せる一方、その管理の複雑さから十分に効果を発揮できていない企業も少なくありません。

本プロジェクトでは、情報の分散、効果測定の困難さ、契約管理の煩雑さという3つの課題を、クラウド型の統合管理システムによって解決しました。


データに基づく意思決定が可能になったことで、お客様は「なんとなく」から「確信を持って」インフルエンサーを選定できるようになり、マーケティングROIの向上と業務効率化の両立を実現されています。


インフルエンサーマーケティングの成果を最大化したい企業様にとって、本システムは強力な武器となるでしょう。

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