こんにちは!株式会社雲海設計の技術部です。
「llm 大規模言語モデル講座2025講義スライドを社内で読み合わせしたいが、章が多すぎてどこから手をつければいいか分からない」「松尾研の公開スライドは網羅的すぎて、業務エンジニアとして優先的に読むべき章が見えない」「Transformerの数式パートとRAG/エージェントの実装パートをどう接続して学習計画に落とすか」——2026年6月現在、東京大学松尾・岩澤研究室が公開しているLLM大規模言語モデル講座2025の講義スライドに関する読み解き相談が、技術部に毎週寄せられています。本記事では、講義スライドの全体構成を業務エンジニア視点で再配置し、章別の押さえどころと自社プロダクトへの実装応用を整理します。
TL;DR
llm 大規模言語モデル講座2025講義スライドは全7〜9回構成で、基礎理論・事前学習・ファインチューニング・RLHF・RAG・評価・エージェントの主要トピックを網羅する国内最高峰の無料教材
業務エンジニアが最優先で読むべきは「評価」「RAG」「エージェント」の3章。Transformerの数式は深追いせず、推論挙動の直観だけ掴めば実務に十分
講義スライドは理論パート(前半)と応用パート(後半)で読み方を切り替えるのが鉄則。前半は俯瞰、後半は写経レベルで精読する
実装応用の本丸は評価ハーネス設計。スライドで紹介される評価指標(perplexity, BLEU, MT-Bench, LLM-as-a-Judge)を自社ハーネスに落とせるかが分水嶺
講座を「読んで終わり」にしない条件は章末ごとに自社ユースケース1件を紐付けるリーディング運用。チーム輪読会×PoC連動で初めてROIが立つ

LLM大規模言語モデル講座2025とは何か?
結論から言うと、LLM大規模言語モデル講座2025は東京大学松尾・岩澤研究室が運営する、国内で最も体系的かつ実装寄りのLLM公開講座です。2023年の初回開講以降、毎年改訂されており、2025年版は事前学習・ポストトレーニング・RAG・エージェント・評価までを一気通貫で扱う構成に再編されました。
講義スライドの全体構成
2025年版のllm 大規模言語モデル講座2025講義スライドは、おおむね以下の章立てで構成されています(回数は年度により前後)。
| 回 | 章テーマ | 業務エンジニア優先度 |
|---|---|---|
| 第1回 | LLM概論・歴史・スケーリング則 | ★★☆ |
| 第2回 | Transformer・Attention機構 | ★★☆ |
| 第3回 | 事前学習・トークナイザ・データ設計 | ★☆☆ |
| 第4回 | ファインチューニング・LoRA・PEFT | ★★★ |
| 第5回 | RLHF・DPO・Alignment | ★★☆ |
| 第6回 | RAG・検索拡張生成 | ★★★ |
| 第7回 | エージェント・Tool Use | ★★★ |
| 第8回 | 評価・ベンチマーク・LLM-as-a-Judge | ★★★ |
| 第9回 | マルチモーダル・最新研究動向 | ★★☆ |
業務エンジニアが手を動かす領域に直結するのは第4回・第6回・第7回・第8回です。残りは「読み物」として俯瞰し、必要に応じて参照する戦略が現実解です。
なぜ今、このスライドを読むべきか
理由は3つあります。第一に、2026年に入って生成AI導入の局面が「PoC」から「本番運用」へ移行し、評価・ガードレール・エージェント設計の素養が現場エンジニアに必須化しました。第二に、海外の論文・ドキュメントは断片的で、日本語で体系的にRAGとエージェントを接続して説明している教材がほぼこれしかない。第三に、講義スライドは無料公開されており、社内輪読会のコスト効率が圧倒的です。
「LLM活用の差分は、もはやモデル選定ではなく評価ハーネスとRAG設計に移っている」——Gartnerは2026年のGenAI Hype Cycleで、評価とエージェント設計を「Slope of Enlightenment(啓蒙の坂)」に分類しています。
章別に押さえるべきポイントは何か?
結論から言うと、前半(第1〜3回)は俯瞰、中盤(第4〜5回)は概念理解、後半(第6〜8回)は写経精読の3段ギアで読み分けます。
第1〜2回:概論・Transformerは「直観」で十分
第1回のスケーリング則と第2回のTransformerは、業務エンジニアにとっては「なぜLLMが急に賢くなったか」を説明できるレベルで十分です。Attention機構の数式を全て追う必要はなく、以下3点だけ掴めば後工程で困りません。
スケーリング則: パラメータ数・データ量・計算量の3軸でlossが冪乗則的に下がる
Attention: 入力トークン同士の関連度を動的に重み付けする仕組み
コンテキスト長: 長くなるほどメモリ消費が二次関数的に増加する制約がある
第4回:ファインチューニングとLoRAは実装直結
第4回は業務エンジニアが最も実装で触る章です。フルファインチューニング・LoRA・QLoRA・Adapter系の違いと、それぞれのVRAM要件・データ件数の目安が示されています。スライド内の数値感覚は、社内でLLMを軽くチューニングする際の見積もり根拠として直接使えます。
# LoRA適用イメージ(スライドの概念をPEFTで実装)
from peft import LoraConfig, get_peft_model
lora_config = LoraConfig(
r=16, # 低ランク次元
lora_alpha=32,
target_modules=["q_proj", "v_proj"],
lora_dropout=0.05,
bias="none",
task_type="CAUSAL_LM",
)
model = get_peft_model(base_model, lora_config)
model.print_trainable_parameters()
# 例: trainable params: 4M / all params: 7B (0.06%)
第6回:RAGはアーキテクチャ図とセットで精読
第6回のRAGは講義スライド全体で最も実務に直結する章です。Naive RAG → Advanced RAG → Modular RAGの進化系譜が整理され、Re-ranking、HyDE、クエリ分解、グラフRAGまでカバーされています。ここはチームで写経しながら自社ナレッジ基盤に当てはめる読み方が有効です。詳細な実装パターンはナレッジ管理×生成AIの実装設計でも整理しているのでセットで参照してください。
第7回:エージェントはTool Use設計が肝
エージェント章では、ReAct・Plan-and-Execute・Reflexionなどの代表パターンが紹介されます。業務適用で重要なのは「Tool定義の粒度」と「ガードレール」で、スライドでもこの2点が強調されています。
第8回:評価は自社ハーネスへの落とし込みが本番
第8回の評価章は、perplexity・BLEU・ROUGEといった古典指標から、MT-Bench、Chatbot Arena、LLM-as-a-Judgeまで扱われます。この章を読んだだけで満足せず、必ず自社ユースケースのハーネスに翻訳するのが鉄則です。ハーネス設計の実装パターンはClaudeハーネス設計の実務ガイドで詳説しています。
業務エンジニアはどう実装応用すべきか?
結論から言うと、「章末ごとに自社の1ユースケースに紐付ける」リーディング運用に切り替えると、講座の投資対効果が一気に上がります。
スライド章 × 自社ユースケース対応表
| 講座の章 | 自社プロダクトでの応用先 | 着手の重さ |
|---|---|---|
| 第4回(FT/LoRA) | 社内文体に合わせた要約・分類モデル | 中 |
| 第6回(RAG) | 社内ナレッジ検索・FAQボット | 軽〜中 |
| 第7回(エージェント) | 営業日報自動化・調査エージェント | 中〜重 |
| 第8回(評価) | 既存PoCの品質ハーネス整備 | 軽(最優先) |
3ヶ月リーディング運用の型
月1: 第1〜3回を俯瞰読み + 第8回(評価)を精読、自社PoCに評価ハーネスを後付けする
月2: 第6回(RAG)を写経精読し、社内ナレッジで小規模RAGを構築・評価ハーネスにかける
月3: 第4回(LoRA)と第7回(エージェント)から1つ選んで深掘り、本番候補のPoCに昇格させる
輪読会の運用Tips
1回90分・スライド15枚を上限にする。それ以上は集中力が切れる
各回の最後10分は「自社のどこに効くか」を全員で1人1案出す
輪読会のアウトプットは必ずIssueかDesign Docに残す。読んで終わりにしない
講座だけでは足りない実装スキルは何か?
結論から言うと、講義スライドは「理論と概念の地図」であり、運用ガバナンスと商用モデルAPIの実装は別軸で補強する必要があります。
補強すべき3領域
商用API実装: Anthropic・OpenAIの実APIは、講座が前提とするOSSモデルとは別の運用知見が要る。詳細はAnthropic API実装完全ガイド2026を参照
ガードレール・セキュリティ: 講座でも触れるが、業務適用にはプロンプトインジェクション対策が別途必要。AIセキュリティ対策実装ガイド2026で補強を
ハーネスのCI連携: 評価指標を継続的に回す仕組みは、講座のスコープ外。CI・回帰評価まで含めた設計はClaude Codeハーネスエンジニアリング実装パターンを参照
2026年AIエンジニアのスキルマップ
講座完走後の到達点と、業務エンジニアとして必要なゴール水準を整理すると、おおむね以下のギャップが残ります。
| スキル領域 | 講座完走後 | 業務必要水準 |
|---|---|---|
| 理論理解 | ★★★ | ★★☆ |
| OSSモデル実装 | ★★☆ | ★★☆ |
| 商用API運用 | ★☆☆ | ★★★ |
| 評価ハーネス | ★★☆ | ★★★ |
| セキュリティ | ★☆☆ | ★★★ |
つまり、講座は理論とOSS実装で7割を埋め、残り3割は商用運用・評価CI・セキュリティで自走補強する設計が現実解です。本格的な学習順序は2026年版AIエンジニアロードマップでも整理しています。
雲海設計の支援
株式会社雲海設計では、松尾研LLM講座のような最先端教材を「読む」から「業務に効かせる」へ橋渡しする伴走支援を提供しています。社内輪読会のファシリテーション、評価ハーネスの初期構築、RAG/エージェントPoCの実装支援まで、Engineer Postの編集チームと実装チームが連動して対応します。
DXソリューション: 生成AI活用の業務組み込み設計
ITコンサルティング: 評価ハーネス・ガバナンス整備の伴走
お問い合わせ: 輪読会設計や講座連動PoCのご相談
よくある質問
Q. LLM大規模言語モデル講座2025の講義スライドはどこで入手できますか?
A. 東京大学松尾・岩澤研究室の公式サイトおよび講座ページで、修了者向け・聴講者向けに公開されています。年度によって配布方針が変わるため、最新の運営アナウンスを必ず確認してください。
Q. プログラミング初心者でも理解できますか?
A. 前半の理論章は数式が出るためある程度の数学・Pythonリテラシーが必要ですが、後半のRAG・エージェント章は概念理解だけでも十分価値があります。初心者は第6回・第8回から逆順に読むのがおすすめです。
Q. 2024年版や2023年版との違いは何ですか?
A. 2025年版はエージェント章とLLM-as-a-Judge評価章の比重が大幅に増加しました。2023〜2024年版を既に学習済みの方は、第7回・第8回を中心に差分読みするのが効率的です。
Q. 業務エンジニアが3ヶ月で完走するのは現実的ですか?
A. 全章を精読しようとすると非現実的ですが、本記事の優先度マトリクスに従って★★★の4章に絞れば3ヶ月で完走可能です。輪読会を週1で回す設計が成功率を上げます。
Q. 講座と並行して触るべき商用モデルはどれですか?
A. 2026年6月時点では、Claude 4.5 Sonnet・GPT-5系・国産モデル(Karakuri、PLaMo等)を業務要件に応じて使い分けるのが現実解です。モデル選定軸はAIエージェント比較2026を参照してください。